Novel DN
□俺を置いて逝くな
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「くそっ……携帯壊れやがった……マットと連絡が」
バタバタと路地裏を駆けながら、おじゃんになった携帯を捨て、考えを巡らす。
このままではヤバイ。
相手にしていたのは臓器売買グループ。
偽物つかまして金だけ奪ってトンズラするつもりが、運送関係まで手が回っていた奴らに綺麗に出し抜かれ、全てがバレた。
正直言ってヤバイ。
下手すればこっちの首が飛ぶ。いやもう飛ぶ寸前だ。
運送関係を任せていたマットも気掛かりだが……俺の相棒だ。いち早く察知してきっとうまく逃げているはず。
生きて再会するには自分の命を守んねぇとな……
っ――!
陰から黒い物体が突進してきて、俺は見事に道に転がった。
起き上がりながら銃を抜き、相手に銃口を向ける。引き金を引こうと指に力を込めると同時に、不吉な音がいくつも聞こえ俺は視線をずらした。
「残念……だったなぁ?」
背後には三・四人の男がまっすぐ俺の頭に銃口を向けていた。
くそっ……!
「取引決裂以前の問題だったな? きちんと払ってもらうぞ、お前の体で。やれ」
一人が銃口をそのままで残りに命令し、抵抗虚しく羽交い締めにされる。
「くそっ離せこの野郎!」
悪態つき一人に蹴り入れるも、多勢に無勢。無力さと共に計画の甘さに後悔を覚えずにはいられない。
「さてーと」
横の男が小さいサイズの試験官のようなものを取りだした。
俺は訳がわからないまま、無駄な抵抗を続ける。
「まずはこれ飲んで、大人しくなってもらおうか」
顎を押さえられ天を向かせられる。二人がかりで無理矢理口をこじ開けられ、液体をそそぎこみ、口と鼻をふさぐ。
意地でも飲み込んでやるかと、食いしばった矢先、腹にパンチを入れられ衝撃で飲み込んでしまった。
飲み込みを確認して奴らは俺を解放し、再び地面に転がる。
なんだ、何を―――
途端に不思議な感覚が全身を貫いた。
体が熱を奪われ、痺れるような感覚。体が痙攣し、俺は呻く。
くっ…………マット………
視界がなくなり、俺は意識が途絶えた。