Novel SH
□その手で紡がれたもの
1ページ/2ページ
「あれっ?ミーシャまた髪伸びた?」
ミーシャは毛先を摘まみながら呟きます。
「ほんと?」
「うん伸びてる」
視線が合い、エレフがにこりと笑うとミーシャも微笑みました。
「ねっねっ三つ編みあんだげる」
エレフが弾んだ声で提案します。
「エレフが?」
いつも二人の三つ編みはお母さんがしてくれていました。
ミーシャはきょとんとしましたがすぐに笑顔で答えました。
「うんうん!じゃ次は私がエレフのを編むね!」
ミーシャが大人しく野原に座ると、エレフは膝をついた状態で毛束を手に取りました。
元々の三つ編みをほどくと綺麗にすき、たどたどしく編み始めます。
風は野原を走り二人の髪をも揺らしていきます。
ミーシャが少し心配になってきた頃、エレフの手が止まりました。
「エレフ?できた?」
ひょいとつまんで見ると、お世辞にも綺麗な三つ編みとはいえない状態でした。ちょこちょこ毛が飛び出し、若干不格好です。
「ごめん……ミーシャ……」
さっきまでの元気と威勢は何処にいったのか、エレフは今にも泣きだしそうです。
「だっ大丈夫!次は私ね!」
気を取り直して今度はミーシャがエレフの髪を結い始めました。
ミーシャはゆっくりと丁寧に紡いでいきます。しかし首を捻っては最初からやり直し。
「お母さんみたいにできない……」
ミーシャは納得がいかないようです。
エレフが哀しそうな顔を覗かせると、ミーシャは勢いよく立ち上がりました。
「よしお家へ帰ろう!」
「お家に……?」
「お母さんに教えてもらうっ!」
エレフの顔が途端に明るくなりました。