Novel SH
□宮内庁物語。1
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「みなさんこんにちは宮内庁統轄のルネです。定例会議の時間となりましたので始めさせていただきます」
洋装な屋敷で長テーブルに鎮座する役員たち。みなSoundHorizonKingdom通称SHKの重役なのだ。
国王Revo一世陛下のもと、毎日せわしなく働いている。
「まずは定時連絡から。サロン・ド・ローラン」
「はい」
呼ばれた者は資料を片手に立ち上がった。
「FC会員は先月より124名増加。FC浜名湖イベント通知が効いたようです」
「うむ。初イベントの準備は順調ですか?」
「はい、申込書を会報に同封し順次発送予定です。ホテル、道程予約確認済みです」
「ご苦労」
サロン・ド・ローランが席につき報告が続く。
「第六の地平線の準備は?」
「予定より若干遅れております。国王陛下の認可がおりません」
音楽担当のキング・ローランは涙目だ。
「しかも一枚におさまりきれない量になりそうで……」
一番重要な役割だけに責任も重い。キング・ローランは冷や汗をかいている。
城下に国民に音楽を届けるのがこの国の在り方なのだ。
「うむ」
ルネは重々しく頷くとエールを送った。
「よろしくお願いしますキング・ローラン。国民は心待ちしています」
エールというよりプレッシャーだと突っ込む者はその場には居なかった。
キング・ローランは冷や汗を拭うと書類を整える。ルネはぐるりと周りを見渡すと司会を進めた。
「他に報告は?」
「はい。新しい地平線Moiraライブの会場の件ですが……国王と話し合いました結果、JCBホールの予定で只今交渉中です」
「了解です」
ルネが再び周りを伺い、「最後に」と声を改めた。
「私からお知らせがあります。携帯コンテンツの充実のため、新しくモバイルオフシャルサイト“王城”を設立する運びになりました」
「おうじょう!?」
「待受はもちろん宮内庁情報も共有し携帯ユーザー獲得が目的です」
「成る程」
重役からどよめきが沸く。ルネは一呼吸置いて続けた。
「またこの件はヴェロネーゼが担当します」
後ろで控えていた者が立ち、挨拶した。些か緊張しているようだが声は元気だ。
「ヴェロネーゼです。現在コンテンツ開拓中です!国民の皆様に楽しんで頂けるよう頑張りたいと思います!よろしくお願いします」
周りが納得したようにヴェロネーゼに拍手を送る。
「ではこれにて」
役員たちは各々の仕事場に帰っていった。