Novel SH
□血の繋がり
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お前は我のもの...
何処へ行こうとも...必ずや闇に染まる...
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「エーレッフ!」
うるさい声と不快感。
「おいエレフ!朝だぞー」
徐々にはっきりする意識。ゆっくり目を開けると、満面の笑みの
「お兄様が起こしに来てやったぞ」
「あ゛?」
開口一番不機嫌な声があがる。ちゃっかり奴は寝台に乗っかっていた。
「兄面すんな。てかどけ」
「エレフがうなされてたから起こしてあげたのに」
ぴくっと眉根を寄せつつ、手で奴を押しのけようとする。
「……っ……き、傷が……痛む」
すかさず腹を押さえるレオンティウス。
「とっくに治ってるだろーがー!」
ますます怒りをあらわにしながら叫ぶ。
「……家族の時間を取り返そうと頑張ってるのに」
「泣きまねすんなー!」
めそめそと顔を隠すレオンティウスに舌打ちする。だいたい敵《かたき》と思っていた相手が実の兄だと言われても、はいそうですかにはならない。
私が実の母を殺し、実の兄を傷つけてから少し時間がたった。その事実をどう扱っていいのかまだ悩んでいる。それでもどこか遠くへ行こうとした私を引き止めたのは、目の前にいるレオンティウスだった。
「今からでも遅くない」と。
一面血の海の中、なぜその言葉を信じたのだろうか。