**BLEACH小説**

□trick or trick
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選ぶ権利なんて最初からありゃしねえ。



『お菓子をくれなきゃいたずらするぞ』だと?



いたずら…出来るもんならしてみやがれ、雛森。





■trick or trick■





「やあ、日番谷隊長、松本副隊長。」




「…浮竹…隊長。どうしたんスか?」


「浮竹隊長、お体は大丈夫なんですか?」



昼下がり。

十番隊にやってきたのは十三番隊の浮竹隊長。
体が弱いため、普段横になっているのが多い浮竹隊長が
今、大きくも小さくも無い袋を持って十番隊にやってきた。



「今日は体調が良いみたいだよ。いつも心配をかけてすまない。」


「その袋は何ですか?浮竹隊長。」


苦笑いして謝る浮竹に質問をする松本。



「あぁ、2人とも今日が何の日か知ってるかい?」


松本の質問には答えず逆に質問をする浮竹。


「えっと、今日は…10月31日でしたよね?」

「何かあったか?」

顔を見合す2人を見ながら袋からお菓子を取り出す。



「今日は『ハロウィーン』という日らしいよ。」


「ハロウィーン?」

「何だ?その…ハロウィーンとは?」



やはり2人とも知らないようだな。と確信する。


「ほら、雀部副隊長って洋風好きだろ?
だからよく洋風行事を教えてもらったりするんだよ。」


「そういえば雀部副隊長って洋食好きでしたもんね!」

「あぁ、それで彼が今日はハロウィーンだと教えてくれたんだよ。」

「…だから何なんだよ、ハロウィーンて。」

「ハロウィーンというのは『トリック・オア・トリート』と相手に言ってその相手からお菓子を貰う行事らしい。」


お菓子を片手に持ちながら、片言の英語を交えながらハロウィーンの説明をする。


「トリック・オア・トリート?」

松本も真似して言ってみるがやはり片言な英語になってしまう。


「『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』というみたいだよ。直訳すれば少し意味は違ってくるみたいだけどね。
さぁ、日番谷隊長言ってごらん。」



「トリック・オア・トリート〜〜!!!」



そんなくだろねえことやってられるか、と言おうと口を開けると松本が先に言葉を発した。


「ノリがいいね、松本くんは。」

そう言いながら松本に手に持っていたお菓子をくれてやる。


「ありがとうございます!浮竹隊長♪」

嬉しそうにお菓子を貰う松本を見て何がそんなに嬉しいんだか…と内心思いつつ横目で松本を見やる。



「日番谷隊長は?」



にこにこと笑う浮竹。

勘弁してくれよとも思うが仕方が無い。


「…トリック・オア……トリート…。」


気だるそうに重たい口調で言うが浮竹は大満足なご様子で日番谷の両手いっぱいのお菓子を渡した。


「それじゃあ私はこれで失礼するよ。」


「ちょっ…!?浮竹…こんなに要らねぇよっ!!」


返そうとするが既に時遅し。




「いいな〜隊長!こんなにお菓子がもらえて!」

「バカにしてんのか、てめぇ…。」


ワナワナと湧き上がる霊圧に焦ったのか松本はすぐに否定をした。


「バカになんてしてないですよ!!ただ本当にお菓子がたくさん貰えていいなぁ〜と思って…。」



「…じゃあ全部くれてやる。」


何のためらいも無く全てのお菓子を松本に渡そうとするので、本当にお菓子要らないんだぁと
内心思いお菓子を受け取ろうとする松本。


「あ、これ貰ったからといって休憩なしにするとか言わないですよね?」


「言うに決まってんだろが!!お前の一日半分が休憩みたいなもんだろ!!」


その言葉を聞いてお菓子を貰おうとした手が自然と引っ込んだ。


「お菓子貰って休憩が無くなるくらいなら貰わないほうがマシです!」


「バカ野郎!!菓子貰わなくたって休憩は無しだ!!」


「え〜〜!!」


不満でいっぱいの声を出す。


「えー、じゃねエ!!とっとと仕事しろ!」


そうまで言ってようやく仕事に取り掛かる松本。








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