**BLEACH小説**
□ありがとう
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「ジン太くーん!!お誕生日おめでとうー!!!」
事の破綻はこの一言から始まった。
■ありがとう■
「ジン太くーん!!お誕生日おめでとう!!!」
そう叫びながら遠くから俺に向かって走って来るのは黒崎遊子。
オレンジ頭の兄ちゃん、黒崎一護とは打って変わって、いつもにこにこ笑って人当たりがいいやつ。
事は既に悪い方へと傾きつつあった。
「ジン太くーん!!きゃあ!?」
道端にあった少し大きめの石に躓いて俺の目の前で大胆にこけた。
そしてパッとすぐに起き上がり、遊子が照れくさそうに笑うから俺も笑う。
そうやってお互いが笑いあえば、ほのぼのとして誰もが頬を緩めるシチュエーション。
しかし実際、そうはいかなかった。
「おいっ!!しっかりしろ!」
道にぐったり倒れて動かなくなってしまった彼女の体をおもいっきり揺さ振り起こそうとするが、なかなか起きない。
彼女の体の近くに小さな箱が転がっていたのが目に入った。
それが恐らく自分へのプレゼントであろうということがすぐにわかった。
嬉しいはずなのに、何よりも彼女からプレゼントが欲しいと望んでいたはずなのに。
人間の望みなんざその一瞬で変われてしまうものなのだ。
プレゼントなんて嬉しくない。
プレゼントなんて欲しくもなんともない!!!
ただ…今欲しいのは…
−遊子の意識−
ただそれのみだ。
「遊子!!遊子!!」
俺の声は震える。
それでも大きな声で彼女の名前を何回も何回も繰り返し叫ぶ。
そんな時。
「遊子!?」
急に大声で彼女の名前を叫ぶので驚いて振り返ってみればそこには以前俺と
カラクラレッドを賭けて色々と、もめたアイツ。
遊子の姉で、名は…黒崎夏梨といったかな。
「遊子!!!どうしたんだ!?遊子!」
すると俺をキッと睨んで
「てめぇが遊子に何かしたのか!?」
「してねぇよ!こいつが俺の方に走って来て転んだんだ」
「意識がないのにどうして病院に連れて行かない!?」
「…!」
かなり動揺していて病院に連れて行くことさえ判断出来なくなってたのか…。
格好悪いな。俺…
今更だけどカラクラレッドはやっぱりお前だよ。
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