◇Novel〜2〜
□マスターの耳は兎の耳
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「あ、もしかしてあの飴ホンモノの獣耳生え薬だったんだ〜?スッゴーイ、ネ♪」
「やっぱりブレイクか!そんな怪しげなモノ他人に試すなーーっ!!」
オズの怒りなど気にも留めず、ブレイクは至極楽しそうに笑った。そして、頭を押さえる少年の側に寄る。
「…ドレドレ?」
「うわっ?!ちょっ…、止め…!」
嫌がるオズの手を無理やり頭の上からどかすと、ぴょこんと飛び出すウサギ耳。
「へェ〜!ウサギ耳なのカ、カ〜ワイイ♪」
恥ずかしさで、オズの顔が真っ赤に染まった。
しかし、直ぐに不敵な笑みを浮かべてみせる少年。
「…ふーん、可愛い?ありがと!それじゃ、超・絶カワイイ俺がオオカミに襲われないように守ってよ」
ふふん、と勝ち誇った笑みを浮かべるオズに、ブレイクは目を丸くした。が、ニヤリと愉快そうに唇の端を吊り上げた。
「それは残念だネ、実はネ、私はオオカミなんだヨ。だから君を助けてはあげられないヨ☆ゴメンネ〜?」
「へっ?…うわっ?!」
ひょいとオズの体が空中に浮いた。ブレイクが鼻歌を歌いながら、オズを抱き抱えて歩きだした。
…オズは、これから自分の身に起こる事態に嫌な予感を抱いた。
「放せ!ブレイク!!」
「お断りデス♪」
じたばたと腕の中で暴れるオズをものともせず、ブレイクは彼の個室へと向かう。
オズには、ブレイクの頭には無いはずの狼の耳が見えた気がした。
「それではオズ君、美味しく頂きマス♪♪♪」
「放せーーっ!下ろしてーーーっっ!!」
オズの絶叫もむなしく、パタン、と扉が閉まり、二人の姿は部屋の中に消えた。
―――マスターの耳はウサギの耳。