◇Novel〜2〜
□マスターの耳は兎の耳
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「…何これ…?」
朝目覚めて、鏡の中を覗き込んだオズ。彼はその目に写った物に絶句した。
「……耳?」
ふさふさとした、白いウサギの耳。それが2つ、オズの髪の中からピョンと突き出していた。
どうやらそれらには神経が繋がっているらしく、力を入れるとピコピコとウサギ耳は動いた。
「…はぁ…」
訳が分からず、オズは溜息をついた。ウサギ耳も力なく垂れ下がる。
オズは必死に記憶の糸を手繰り、こうなった原因を探した。昨日は何時もと何一つ変わらなかったはずだ。
――…しかし、オズの脳裏に、ある出来事が思い浮かんだ。
「……!、あ!もしかして…っ!」
* * * *
バタバタと誰かが大急ぎで走って来る音が、ブレイクの耳に入った。
バン!と激しい音を立ててドアが開くと、頭の上を手で押さえた少年が部屋の中に飛び込んで来た。
「ブレイクっ!!昨日俺にくれたあの飴何だったの!?」
オズは、昨日珍しく親切なブレイクに飴玉を一つ貰ったのだ。何故警戒せず素直に喜んで食べてしまったのだろうかと、オズは今になって激しく後悔していた。
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