◇Novel〜2〜

□マスターの耳は兎の耳
1ページ/3ページ


 「…何これ…?」

 朝目覚めて、鏡の中を覗き込んだオズ。彼はその目に写った物に絶句した。


 「……耳?」


 ふさふさとした、白いウサギの耳。それが2つ、オズの髪の中からピョンと突き出していた。

 どうやらそれらには神経が繋がっているらしく、力を入れるとピコピコとウサギ耳は動いた。


 「…はぁ…」


 訳が分からず、オズは溜息をついた。ウサギ耳も力なく垂れ下がる。

 オズは必死に記憶の糸を手繰り、こうなった原因を探した。昨日は何時もと何一つ変わらなかったはずだ。

――…しかし、オズの脳裏に、ある出来事が思い浮かんだ。

 「……!、あ!もしかして…っ!」

* * * *


 バタバタと誰かが大急ぎで走って来る音が、ブレイクの耳に入った。

 バン!と激しい音を立ててドアが開くと、頭の上を手で押さえた少年が部屋の中に飛び込んで来た。


 「ブレイクっ!!昨日俺にくれたあの飴何だったの!?」


 オズは、昨日珍しく親切なブレイクに飴玉を一つ貰ったのだ。何故警戒せず素直に喜んで食べてしまったのだろうかと、オズは今になって激しく後悔していた。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ