◇Novel〜2〜

□クリスマスの夜に
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腰を引き寄せられ、身体が密着する。
耳元での低音の囁きにギルバートは小さく震えた。
オズの腕の中、赤い顔でもじもじと俯く姿がなんとも愛らく映える。



「やっぱり可愛い……」

「可愛く、ない、です……んっ」



否定の言葉を漏らすギルバートの顔を持ち上げて、オズはギルバートに唇を寄せた。
初めは啄ばむような口付けを。
何度目かのキスでオズの舌がギルバートの唇をなぞり、薄く開いた口腔に侵入する。



「ぁ、……ぅん!」



舌を絡めとり、ギルバートの呼吸を奪う。
息苦しさに眉が寄ったところでやっと解放された。
最後についでとばかりに唇を甘噛み。



「はぁ……も、坊ちゃん、いきなり……」

「だぁってギルがあんまり可愛いから。それに……」



オズの指がうっすらと涙を浮かべるギルバートの目元に触れ、ゆっくりと目下をなぞる。
こそばゆい感覚にギルバートは身じろいだ。



「綺麗」



ふ……っ、と笑みを浮かべたオズに、赤かったギルバートの頬がますます赤くなった。
時折見せるオズのこの表情がギルバートは苦手だった。それは決して悪い感情ではなく、耐えられないぐらい激しくなってしまう動悸が恥ずかしいから。



「綺麗じゃないです……」

「綺麗だよ。少なくとも俺にはね。自慢の恋人」
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