◇Novel

□放課後のアイス
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「アリス〜お待たせ!」
「おお!やっとか」



コンビニから出てきたオズは、よくある白いビニール袋を提げて駆け寄ってくる。その中身を想像してかアリスは喜色を帯びた声で叫んだ。
期間限定の練乳アイス。発売してから売り切れ続出の大人気商品で、何度も何度も買い逃し、甘いモノが大好きな二人はその度に悔しい思いをしてきたのだ。



「でも、今頃学校では大騒ぎしてるかもなぁ」
「オマエが学校を抜け出すなんて珍しいしな」
「サボるのはたまにあるけどね」



今までの経験からして放課後に店に向かってからじゃ間に合わないと判断した二人は、授業の合間にこうして抜け出してきたのだった。
きっと担任のギルバート先生は胃が痛い思いをしていることだろう。

二人にとっては、些細な空き時間でさえも自由な放課後のようなものだった。


「単位下がるんじゃないか?まあ私のはこれ以上下がりようの無い成績だから別にどうでもいいが・・・」
「でもまあ、アイス買えたし。オレテストだけは良いから大丈夫だよ。結果オーライってことで!」


はい、アリスの分!そう言って差し出されたアイスを受け取り、早速かぶりつくアリス。豪快に食べ始めるアリスを見て、オズもちろちろと溶け始めたそれを舐める。

しばらく無言でアイスに夢中になっていたアリスだが、ふと思い出したかのように隣のオズに話しかける。


「なぁ、オズ」
「何?アリス」
「オマエはなんでそんなにワカメのことが好きなんだ?」


唐突で、突っ込んだ質問に「何さいきなり」と苦笑いを浮かべるオズに「別に・・・」と口ごもるアリス。


「ワカメ頭のヤツ、オズに全く興味無いじゃないか。なのになんでそんなに好き好き言えるのかと思ってな」
「ん〜なんでかなぁ」


自分でも分かんないや。そう言って笑うオズにバカか。と突っ込みそうになったアリス。だがその後に続いたオズの言葉に、それは呑み込まれていってしまった。


「『好き』だからかな」


ああ、コイツはただのバカではない。
大バカだ。
むしゃくしゃする思いをアリスは残ったアイスを喉の奥に流し込むことで忘れ去ろうとしたのだった。

なんて単純で奥の深い。



                                     ―放課後のアイス―
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