◇Novel

□水平思考
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全て私がいけないというのだろうか?








       ―水平思考―








「ん・・・っ・・・ふぁ・・・」


糸を引く唇を、名残惜しそうに離す。いつもどこか冷めていて、全てを拒絶しているようなエメラルドの瞳が、今は自分だけを映しているのだと思うと、言いようの無い昂揚感に満たされる。


「あっ・・・ブレイク・・・んッ」


熱に浮かされたように、とろんとした目で見つめてくるオズを私は抱き上げ、自らをまたぐような体勢にさせる。自重もあり、先ほどよりも深く突き刺さる私の昂りに、オズは甘い吐息を零して首に縋りついてきた。


「ンッ・・・やぁ・・・!」
「ツライならやめますか?」


私の問い掛けに、オズは目を見開いてイヤイヤするように首を横に振る。私自身を包み込んだ粘膜も、オズの意思を伝えるかのように、きゅうっと収縮した。


「・・・はぅ・・・いッ・・・つぅ・・・」


軽く腰を揺すってやるとナカが引き攣れるのか、震えたように呻くオズ。縋りついてくる彼に「力を抜きなさい。痛いのはイヤでショ?」と囁くと「ん・・・」とコクリと頷き、その瞬間、浮かんでいた涙が一粒零れ落ちていった。

こんな彼の姿、鴉もアリスも知らないだろう。普段は作った笑顔ばかり浮かべ、憎たらしく思えるほど、心の闇を完璧なまでに内に隠して。

あまりにも哀れで、可哀想な、私だけのオズ。

オズの顎をつかみ、こちらに向かせるとその唇に優しく口付ける。彼は躊躇う様子もなく、薄く唇を開き、しっとりと私の舌を受け入れる。しばらく唾液を絡めあっていると、意識がキスの方に向けられてきたのか締め付けが緩んできた。そこで最奥を突き上げると、オズは口を塞がれながらくぐもった声を上げ、目尻から雫が伝い落ちる。


「・・・ぷはっ・・・あっ!んッやあぁ!」


キスを解いた途端、悲鳴が迸る。

膝裏に手をかけ、すくい上げるようにして猛った自身をナカに叩きつける。オズはその美しい金糸を振り乱し、奥まったソコを貫くたびにビクンッと痙攣し、甘い嬌声を上げた。
甘い刺激に弓なりに反れるオズの体を支え、固く凝った胸の突起を強く吸い、歯をたてる。


「や・・・だぁ・・・噛まないでっ・・・」


きっと、胸を弄る私の頭を引き剥がそうとしているのだろう。私は少し顔を離し問う。「どうして?」


「だって・・・」
「ココも、こんなに濡れているのにイヤなんですか?」
「・・・あっ!」


はしたなく反り返り、先走りの蜜を零してるオズのソレに指を絡めると、腰がピクンッと反応をしめし、私自身をキツく締めつけた。


「ほら、気持ちよくなりたいんでショ?」


涙を浮かべ、双眸を細めるオズに窺うと、彼は本当に素直に頷いた。そう。それでいい。


本当のキミをさらけ出すのは、私の前だけでいいのです。

散々に乱れ、貪欲に快楽を求めて甘く鳴くのも、全て全て私にだけ見せて。

今、この時だけは何も考えずに、私だけをその眼に映していればいい。
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