◇Novel
□仮初めの愛
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―仮初めの愛―
グチャ。ナイトレイ家のとある部屋の一室。
中に、水音が響き渡った。
それと同時に聞こえてくるのは、熱に浮かされたような喘ぎ声。
「ッはぁ!・・・ふ、ぅ・・・あっん・・・!」
ベッドに倒され、押し付けられている彼がビクッと跳ねるたび、上部で縛られた腕が、ぎちっと鈍い音をたてた。
逃げようと、その綺麗な黒髪をシーツに広げ、必死に身をよじる彼を見て、その上に馬乗りになっているオッドアイの青年・・・ヴィンセントは、無言でナカに挿入してる指を強く動かした。そして思いのままに大きく身体を跳ねさせる黒髪の彼・・・鴉の反応を見て、嬉しそうに口元を歪める。
「あ、ああッ!ヴィンスもっやめ・・・!」
「なんで?」
必死に懇願する鴉を見て、ヴィンセントは舐めるような視線でその様を眺める。そして、ふっと笑うと
「キモチいいんじゃないの?」
先走りで濡れているソレを掴み、揉み出すようにして上下に揺する。瞳に涙をためた鴉は更に大きな喘ぎ声を上げ、聞いたヴィンセントはグチャグチャと粘着質な音をたてながら、増やした指で彼のナカを乱した。
「ッ!ひっあ、ん!・・・ん!んンッ」
ビクビクと、痙攣するかのように跳ねる足と腕。手でヴィンセントを押し返そうとしても、手首を重ねて固く結ばれ、それでいてベッドの柱に縛り付けられたスカーフは解ける事を知らない。ただ、もがく鴉を嘲笑うかのように、ぎち。と音をたて、結び目を更に固めていくのだった。
そうしている内に、ヴィンセントは鴉のナカから一気に指を引き抜いた。そして、鴉に休む間も与えず、彼のひくつくソコに自らのモノをあてがう。
「ほしい?」
「い、いらない!」
涙をためながら、ふるふると首を横に振る鴉。ヴィンセントは冷笑を浮かべると
「ウソツキ」
そしていきなり、己のモノを一気に挿入した。裂けるような質量に、悲鳴を上げる鴉。
「!いッや、やあぁ!!」
快楽は感じない。裂けるような痛みで涙を零す鴉を一瞥すると、ヴィンセントは激しく腰を動かし始める。
それと同時に、快楽と痛みがグチャグチャになって身体を襲った。泣き叫ぶ鴉。
「ッあああ!!んッくっ!やめッ・・・」
ヴィンセントのこういった行動は、今に始まったことでは無い。しょっちゅうなのだ。いや、毎晩と言った方が正しいかもしれない。とにかく、このオッドアイの青年は頻繁に鴉を抱いていた。