◇Novel

□鳴り響き
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時間が時間なのか、キッチンには誰もおらず、ギルバートは一人で紅茶の準備を始めた。
茶葉をティーポットに入れ、一息吐くと、外からゴロゴロ・・・と重低音が響いてきた。

ああ、雷・・・と呟くと同時に、ギルバートの背に、何か温かいものが被さってきた。
慌てて振り向くと


「・・・坊ちゃん?」


そう、オズだった。
抱き締められて動揺するギルバートに、オズは更にぎゅっと強く抱き締めて問い掛けた。


「ギル・・・オレ、何かした?エイダも部屋に置いてきたから・・・気にせず言っていいよ?」


耳元で囁かれ、ギルバートはオズの腕の中でビクリと震える。
顔が熱い。頭がクラクラする。
オズの体温を感じて嬉しい反面、期待させないで、という想いが心の中で混ざり合う。何も答えず、ビクビクするギルバートを見て、オズは悲しそうに呟いた。


「・・・言えないほど、オレ、酷いことした?ごめんね・・・」


それを聞くとギルバートは慌ててち、違います!と声を荒げた。


「誤らなければいけないのはむしろボクの方で・・・!」
「え?」
「だって・・・!ボク・・・坊ちゃんが・・・」


ギルバートの中の想いが溢れ出しそうになった時。
瞬間、窓から閃光のような強烈な光。

そして一瞬遅れて


「ギル!動かないで!」


ドオオォォン!!

落雷の音が響き渡った。もの凄い爆音に、屋敷全体が震える。


「ひゃああ!」
「っちょ!だからギル・・・暴れないで!っわあ!」

パニックに陥ったギルバートは逃げようと暴れ、結果、抱き締めていたオズを巻き込んで、二人で縺れ合って床に倒れこんだ。

ブチンと切れる部屋の電気。


「ギル?大丈夫?」


殆ど手探りで、ギルバートの頭を撫でると、カタカタ震えているのが分かった。


「ぼ・・・坊ちゃん・・・」


とりあえず、意識がある事に安心したオズはほっと息を吐く。しかし、こうも真っ暗では電力が回復するまでは動けない。


「・・・これじゃ動けないね」
「っぅ・・・ひっく・・・」
「え!?ギル!?」


突然嗚咽を漏らし始めたギルバートに、オズは一瞬驚いたが、すぐに優しくギルバートを抱き締めた。
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