◇Novel
□ユガミ
2ページ/4ページ
考えていると、どうにも腹立たしくなり、まだ切られずに残っていた人形を手に取った。
そして後ろ足を切り落とそうとしたとき、その手をギルバートが止めた。ヴィンセントが見上げる。
「さっき壊さないでって・・・」
言ったはずだよね?と続けようとしたギルバートは、乱暴に腕を引っ張られ、ベットの上へと倒れこんだ。スプリングの軋む音が響く。
あまりの事に声も出ず、目を白黒させるギルバートの上に、ヴィンセントは当然のように覆いかぶさった。
ギルバートは口をぱくぱくさせながら
「ヴィ・・・ヴィンス?何を・・・」
と声を発した。
「何って・・・。これからやろうとしてること、ギルは分からないの?」
ヴィンセントは薄く笑った。その目を見て、ギルバートはぞっとする。
冷たい目。
・・・本気だ。
それを確信すると、ギルバ−トの身体は恐怖で震えだす。それでも逃げようと叱咤すると、その腕を頭上で押さえ付けられてしまった。
「やっやめて!ヴィンス!」
暴れれば暴れるほど、ヴィンセントは楽しそうに握る手に力を込める。その瞳に自分が映ることを喜ぶように。
「怖い?兄さん。でも大丈夫。すぐに気持ち良くなるから」
ヴィンセントはそう言うと、首を振り続けるギルバートに無理矢理口付けた。そして半開きになっていた唇から舌を深く入れ、口内をなぞる。
「あっ!・・・ぅ・・・ゃっ・・・」
出したくないのに、どうしても漏れる声。心では嫌だ嫌だと思っていても、身体は素直な反応を示す。絡めていた舌を解くと、ヴィンセントは満足そうに目を細めた。
「まったく兄さんったら・・・キスだけでこんなに乱れて・・・」
やらしいね、と紅潮した顔で荒い呼吸をくり返すギルバートの耳元に呟くと、ギルバートの身体は面白いように反応し、ビクリと跳ねた。
感じやすいギルバートの身体に、ヴィンセント自らもゾクゾクとした快感を覚える。
もっと、もっと感じさせてみたい。快楽に溺れたギルの姿を見たい。
そして兄さんの心も身体も、手に入れてしまいたい。
そんな欲求のまま、ヴィンセントはシャツのボタンに手をかけた。ギルバートも抵抗はするものの、先ほどのキスで力が入らなくなっており、結局されるがままの状態だった。
プチプチとボタンを外し、露わになった肌に、するりと手を進入させると「あっ・・・」といった声が口から漏れてきた。突起を弄る手をそのままに、首筋へと舌を這わせると、ギルバートは再び恐怖で目を開き、カタカタと震えだす。
「や、いやだ・・・、やめて・・・!」
ギルバートは必死に訴えるが、涙目で懇願しても、ただヴィンセントの理性を煽るだけだった。
なおも抵抗するギルバートを体重をかけて大人しくさせると、ヴィンセントは再び首筋へと顔を持って行き、先ほどまで舐めていた部分を強く吸った。そのとたん
「やだ!やだ!坊ちゃん!坊ちゃぁん!」
ギルは叫んだ。ヴィンセントはギクリとして目を見開く。が、次の瞬間にはその目に陰が差した。