和泉家の事情
□愛しくて
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アイスの先端を軽く舐める。
何度か舐めていると溶け出して、ツーッと滴が筋を引く。
ソレを舌で追いかけると再び先端まで戻っていく。
アイスの冷たさで真っ赤になった舌先。
細くなったアイスを口に含んでゆっくりと上下させる勇哉。
目を奪われた。
誘われている気になる。
敬汰の言った事が分かる気がした。
勇哉は最後の一欠片を口に入れた時、俺の視線に気付いた。
「爽兄も食べたくなった?」
もう食べちゃった‥、と困り顔。
俺は静かに勇哉の隣に座った。
「爽兄‥?」
怪訝そうに見上げてくる。
俺は勇哉の頭を引き寄せ、唇を一舐め。
「甘い」
感想を言うと、勇哉は持っていたアイスの棒を落とした。
「え?何‥? なんで‥
爽兄? え?」
混乱している勇哉に構わず今度は少しだけ深いキスをする。
僅かに震える勇哉。
勇哉の口内はバニラの味がした。それを味わうように口内を犯す。
「んッ‥」
キュッと腕を掴まれゆっくり唇を離すと、勇哉もゆっくり目を開けた。
潤んだ瞳が俺を見つめる。
もっと‥。と言われているような錯覚。
もう一度、静かに口付けた。