和泉家の事情
□僕の気持ち
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大好きっていつも思ってる。
爽兄は本当に優しい。
どんな時も「大丈夫」って言ってくれる。
僕が卵焼きを真っ黒に焦がしてしまった時も、笑ってオイシイって食べてくれた。また作れよって言ってくれた。
風邪をひくといけないからって眠るときはギュッて抱っこしてくれる。
「兄貴は勇哉にだけ過保護過ぎ!その半分位、俺にも優しくしてみせろ」
敬兄はそう言うけど、僕は二人の関係が羨ましかった。
爽兄は敬兄の事をちゃんと一人前の男としてみてる。
二人は並んで立っていて、僕はその10歩位後ろにいる気持ちになる。
だから、キスした時は嬉しかった。
‘手の掛かる弟’としてじゃなくて、一人の人として見てもらえたような気分。
ファーストキス
って言うんだよね?
なんだかくすぐったい響きに顔が熱くなる。
爽兄はどうして僕とキスしたんだろう。
聞いてみたいけど、聞く勇気は無い。
考えていると、横で寝ていた爽兄が起きてトイレに入って行った。
そろそろ起きなきゃ‥。
そう思うのに、タオルケットの柔らかさが気持ちよくてまた眠くなってくる。