和泉家の事情

□キスの意味
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「子供は家に帰るのも仕事のうち」
そう言うと
「もう子供じゃないよ」
顔を赤らめて訴えてくる。“キスを経験したから大人だ”とでも言いたいのだろう。
それなら‥と、勇哉の唇を親指で軽くなぞってやる。
途端にボッと音がしそうな程顔を真っ赤にして
「もう良い」
小さく呟いて俺の手から逃げるように風呂場に戻っていった。
「わ〜るかったって」
謝ってはみるが、反応の可愛さに顔が笑ってしまってどうしようもない。
「バカにして」
ムクれた声が聞こえた。
「してないって」
それでも勇哉は風呂場から出て来ようとしない。
これが普通の恋人同士なら甘い雰囲気まで持っていき、そのままベッドに押し倒すとこだが相手は中坊の弟。
そのガキ相手にマジに嵌まってる俺って変態か‥?
「ごめん」
恋人に使うような甘い声で囁くと少し間を置いて
「僕もマガママ言ってごめんなさい」
素直に顔を出した。
俺の躾の賜物か?かなり可愛い。
「じゃ、仲直り」
俺は思い切り体を屈めて勇哉にキスをした。
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