番外編

□white day
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「兄貴、明日って何の日か知ってる?」
「明日?」
敬汰に尋ねられカレンダーを見上げる。

3月14日。

答えを待つ敬汰の顔はこの上無く楽しそうだ。
「知らん」
どうせ敬汰の事だ。
ホワイトデーだから、とか言って何かろくでも無い事を言い出すのだろう。
兄弟で、と言うより俺と敬汰では全く関係ないイベントだ。

「何言ってんだよ。バレンタインにかなりチョコ貰っただろ?お返ししねぇの?」
俺の予想に反して敬汰は意外にまともな事を言った。
「あぁ、そうだな。だけどきりが無いんだよな‥」
俺はどうしたものかと暫し考えた。
礼儀として何か返した方が良いのは分かっているが、実際のところ貰いすぎて誰から貰ったのか分からなくなっていた。
中にはバイト中、名前も知らない女の子から貰ったものもある。
その殆んどは甘いもの好きな敬汰と勇哉に分け与えた。

「お前が食べたんだからお前が買ってこいよ」
そう言って財布を投げ渡した。
「俺が買ってどうするんだよ」
敬汰は呆れたように笑い財布を投げ返してくる。
「‥‥止めた。今回はお礼無しにする」
俺の呟きに敬汰は肩をすくめた。
「兄貴って見た目優しそうなのに、好きなやつ以外にはホント冷たいよな」
「そうか?変に期待持たせるより良いだろ?」
「いいや。俺なら貰った物のお礼はちゃんとするね」

敬汰は何故か眼をギラつかせてそう言った。


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