和泉家の事情

□遊んであげよう
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「は?何言ってんだ。
無理に決まってんだろ!」
突然かかってきた敬汰からの電話。
出なければ良かったと後悔した。
「子供じゃないんだから一人で平気だろう?
なんでウチに来る必要が有るんだよ。
は?おい!敬汰!」
有無を言わさず通話は切れた。

「爽兄?どうしたの?」
勇哉はダルそうにベッドに横たわったまま俺を見上げた。
午前中に身体を重ねたせいで体力を消耗仕切った勇哉は、午後9時を過ぎてやっと起き上がれるまでに回復した。
ベッドの端に腰掛け勇哉の頭を撫でながら顔色を確認する。
血の気が引いて青ざめていた頬に僅かに血色が戻っている。
「野菜スープ作ったけど飲めそうか?」
勇哉は嬉しそうに頷いた。
「うん、お腹すいた。
電話は敬兄から?何かあったの?」
「いや、父さんと母さんが九州の叔父さんの所に行くって言ってただろ?」
「うん」
「敬汰がその間ウチに泊まらせろって」
「敬兄が!?」
勇哉はパッと顔を輝かせた。
「嬉しそうだな?」
「爽兄は嬉しくないの?」

嬉しいはずがない。
せっかく勇哉が俺を受け入れてくれ始めたんだ、邪魔されたくない。
大体、勇哉の今の状態を見れば敬汰の事だ、俺達が関係を持った事に気付くだろう。
何を言われるか分かったもんじゃない。
「僕は嬉しいな。敬兄が来たらトランプしようよ!」
「‥‥そうだな」
憂鬱だがせっかく勇哉が嬉しそうなんだ、我慢するか。
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