和泉家の事情

□愛しくて
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 ―8月1日―

夕方、コンビニのバイトから帰えると勇哉が嬉しそうに走り寄ってきた。

「おかえり!爽兄!聞いて聞いて!」

パタパタ振るシッポが見えそうだ。

「ただいま。なんだ?」

勇哉は俺が靴を脱ぐのも待てないって感じで話始める。

「明日から二週間、部活無いんだって!いっぱい遊べる!爽兄は忙しい?」

どこか連れてって!顔で見上げてくる。

「バイトがあるからなぁ」
時間を作ってやりたいが、勇哉を夜一人に出来ないと言う理由で、今でも皆に無理を言って日勤だけにしてもらっている。この上、休みまでとなると厳しいだろう。

途端に項垂れる。
「そっかぁ。しょうがないよね」

「ごめんな」
頭を撫でてやるとふるふると頭を振って笑顔を見せた。
「アイス食べていい?あ、でも1個しか入ってないよ?」
袋を覗き込みながら尋ねてくる。
「俺いらないから。それ勇哉の」
「良いの?ありがとう」

その時、敬汰の言葉を思い出した。

『棒アイス食べてる口ってエロいよな。 アレ舐めてるみたいじゃねえ?』

その時は笑い飛ばしたが‥。
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