和泉家の事情

□想い
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暖かい。
それをもっと味わうべく引き寄せた。


エアコンで冷えすぎた部屋は肌寒い程だった。

腕の中にある熱に覚醒しきれないまま頬を寄せる。
気持ち良い。このまま再び眠りに落ちていこうか‥
そう思った時、携帯のアラームが小さく鳴り出した。

7時。
アラームを止め、ゆっくり起き上がる。
昨日、勇哉に背を向けて寝たはずなのに目が覚めた時には抱き寄せていた。
心が勇哉を求めているんだろうか。
考えて、苦笑した。
一度キスをしてからマジに嵌まってしまったらしい。
不毛な恋って奴か‥?


「勇哉。7時。部活だろ?」
軽く揺すって起こす。

土曜日とは言え、中一の勇哉には部活がある。

『大きくなりたい』
そんな理由で選んだのはバスケ部。

バスケすると背が伸びるのか?
背が高いからバスケするんじゃないのか?
疑問に思ったが、遺伝的にそのうち勇哉も自然にデカくなりそうだから、まぁ良いだろう。父親に似ればだが。


勇哉は一度小さく伸びをして起きた。

睡眠時間が足りなかったせいだろう、フラフラしながらもなんとかパンを食べて出掛けていった。
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