和泉家の事情

□僕の気持ち
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朝だ‥。

今までは眠くて眠くて自分で起きるなんて絶対出来なかった。


「大人になれ」

爽兄にそう言われて、甘えてばかりいた事を反省した。
一緒に暮らしたいって頼んだのは自分だったのに。

爽兄は僕がお父さんから逃げてきたと思ってるみたいだけどそうじゃない。
お父さんは苦手だ。
でもそれだけで無理を言って爽兄のとこに来た訳じゃない。
爽兄と離れるのが嫌だったから。
あの日‥。
爽兄が家を出た日。
荷物が無くなった部屋を見た途端、寂しくて寂しくて涙が止まらなかった。

そんな僕を見て敬兄はバカにして笑ってたっけ。




昨日 爽兄にキスされた。
ビックリした。驚いた。
うわぁって感じ。

僕だって、そんなに子供じゃない。
男同士で、しかも兄弟でキスするなんて普通じゃないって知ってる。

でも嬉しかった。

唇が触れた瞬間、頭の中は真っ白になった。
僕より少し冷たい唇。
口しか触れてないのに体全部が爽兄とくっついた気がした。
その瞬間だけは爽兄は僕のもので、僕は爽兄だけのものになれた様な不思議な感覚。


爽兄の顔が見たくなって目を開けたら、痛いのを我慢してるみたいな表情だった。
僕と目が合うとすぐに優しい笑顔に戻ったけれど。
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