‡長編小説‡

□第9楽章−革命−
1ページ/9ページ



その頃に何度か見た夢の話をしたい。
今、思い返せばそれは夢、というよりは「報せ」だったのではと思う。
おおよそ自分らしくもない表現ではあるが、
そう表現する事が自然な気すらするので、あれから僕はそう考えるようにしている。


その夢の中で、僕は「誰か」だった。
時代背景も、現代ではない。
そして日本でもない。
言うなれば、1800年代パリ。もしくはドイツか?

それはフレデリック・ショパンの生きた世界。

そして、僕の意識の入った「誰か」こそ、ショパンではないかと感じた。


その夢にはいくつかの場面があり、その日によって夢に見る場面はまちまちだったが、
1番多く見たそれの話をしよう。



おおざっぱな表現で申し訳ないが、
何か、「幾人かの同志が集まった」といった雰囲気だ。
周りの者が僕に話しかけ、むろん僕もそれに応えてはいるが、
まるで無声映画のようなその夢には音が存在していない。

手前の若者が紙にペンを走らせている。
そこに踊るポーランドの文字。


そして場面は一変し、
僕は白と黒の鍵盤に向かっている
心はなぜか大きく荒れていて、僕である「誰か」は鍵盤に手を乗せた。


そして


無音だった世界に激しく現れるピアノの音色。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ