その瞳に映るモノ
□第一話
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「…クソ兄貴ィィィ!!!!!」
銀時はそう叫びながら、一階へと続く階段を素晴らしいスピードで降りる。
「こんのクソ兄貴ィィィ!!!!!俺のトシに何やってんだァァァ!!!!!」
バンッ!!とリビングのドアを開けそう叫ぶと、金時はソファに座って新聞を読んでいた。
「はァ?朝から何をギャーギャー…」
「テメーだろーがよォォォ!!!トシに痕つけたの!」
「うん。」
「しれっというなァァァ!!!!!殺すぞ、テメェェェ!!!!!」
「やれるもんならやってみろー。」
「上等だコルァァァ!!!二度と俺のトシに触れねぇ体にしてやらぁ!!!」
「トシィ、できたよ。バカ二人はほっといて食べよっか。」
「あ、ハイ。」
今にも殴り合いを始めそうな二人だったが、その銀八の声に我に返った。
『テメェ、銀八ィィィ!!!!!抜け駆けしてんじゃねぇぞコラァ!!!!!』
「うっさい。っつーか、俺食ってる時間ねーな…もう行くわ。」
二人を軽くあしらって、銀八はコーヒーだけを飲み玄関へ向かう。
「あ、行ってらっしゃい。銀八さん。」
ドアの前に立った銀八に土方がそう言うと、銀八はにっこりと笑いながら…
「何かこうしてもらうと、トシ奥さんみたいだな。」
と言った。
「そ、そうか?」
銀八の表情と言葉に土方が頬を赤く染めていると…
「さっさと行ってらっしゃい腹黒教師。」
「帰ってこなくてもいいよエロ教師。」
金時と銀時のかなり不機嫌そうな声が聞こえた。
「俺は腹黒でもエロ教師でもねェ!!!…はぁ…じゃあ行ってくるけどトシ、こいつらに何かされたら俺に言うんだぞ?」
「はい。」
苦笑する土方に銀八は…
「ん、いい子。行ってきます。」
と言い、ちゅっ、と頬に触れるだけのキスをして仕事へと向かった。
「っ…」
『…(帰ってきたらぶっ殺してやる…)』
それを見ていた銀時&金時は、心の中で同じことを誓っていた。
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