頂き物

□神月さまより
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「ここは?」
坂田が開けている教科書を指差し、俺に聞いてきた。
「この公式使ったら解けんだろ?」
一旦坂田の教科書を指差し、質問に答える。
また勉強を再開した。

今…俺と坂田が居る場所は市立の図書館の自習室だ。
始めは俺一人だったのだが、気付いたら目の前の席に坂田が居た。
そして、勉強会に至っている。
坂田が珍しく邪魔をすることなく、教科書に向かっている姿をチラリと見つめた。
ただ、坂田の口には飴の棒がチラリと見えた。
「土方くんはさぁ、数学が得意だったよね?」
「…ああ」
いきなり話題を振られ、少し戸惑いながらもそれに応える。
「で、銀さんは数学苦手じゃん?」
「そうだな」
坂田の今までの悲惨な点数を思い出しながら俺は頷いた。
「だからさ、もし銀さんが土方くんより良い点数とったらご褒美ちょうだい?」
その言葉に俺は鼻で笑った。
「あんな点数で俺に勝てる訳ねぇだろ」
「でしょ?土方くんにとっては有利な勝負じゃねぇ?」
坂田は持っているシャーペンをクルクルと回しながら話す。
「俺が勝ったら何かあんのか?」
シャーペンを回すのを見ながら尋ねる。
「銀さんが一つ言うこと聞くけど?」
「分かった。勝負に受けて立ってやらぁ」
俺はニヤリと笑った。
既に勝負が決まっているからだ。
ただ、俺は坂田も同様に笑っていたことに気づきはしなかった。
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