短編

□★銀の蝶舞う夏の夜
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「遅ェよ」




近所で行われる夏祭りに土方を誘ったのは、昨日。



てっきり「忙しい」の一言で断られるかと思っていたが、ちょうど非番の日だったらしく、土方は赤くなりながら「行く」と、何とも可愛らしい返事をくれた。


そして、今日。




土方と祭りに行くことが何故か新八や神楽にばれてしまい、誤魔化すのに時間が掛かってしまった俺は10分程遅刻して待ち合わせ場所に到着した。



しかし周りを見回しても土方はいない。



今日は非番と言っていたが、何かあったのだろうか。



そんなことを考えながら辺りを見回していると、冒頭の科白が聞こえてきたのだ。


その声と気配は俺がたった今探していた人物のモノで。



自然と緩んでしまう顔を引き締め振り返ると、そこに居たのは。



「…ひじ、かた…?」




黒い浴衣を身に纏い、不機嫌そうな表情で此方を睨み付けている『美女』だった。





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