短編

□願いは天へ、想いは君へ
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見回りから屯所へ帰って来ると、そこには今朝まで無かった筈の大きな笹があった。




「…何これ?」




笹を見上げながら無表情で問う俺に、答えてくれたのは近藤さんだった。




「おー、トシ!やっと帰ってきたか!」




「…何やってんの?」



「何って、今日は七夕だぞ?七夕パーティーに決まってるだろう!!」




いつも通りの笑顔でそう答えてくれた近藤さんに、軽く殺意がわく。



今現在、仕事は山のように溜まっていて、俺なんてもう1ヶ月程休みが無い状態だ。



それなのに、七夕パーティーって…。




「近藤さん…」




「ん?どうしたトシー…」




「あ、トシちゃんネ!!」




何かを言いかけていた近藤さんは、100m程先から素晴らしい速さで走ってきた少女に体当たりされ、気絶してしまった。



…まぁ、直ぐに復活するだろうから近藤さんは別にいいが、問題は…。




「神楽…、何でここにいんだ?一人かー…?」




「違うアル。銀ちゃんとヅラと片目ヤローがいるネ。」





あぁ…やはり。




つーか、前半はいいとしても、後半二名は明らかにおかしいだろう。




何で真選組屯所にテロリストのトップがいるんだ。



おかしい。



絶対おかしい。



だが、今更そんな常識が奴らに通用しないなんてことは分かりきっている。




言うだけ無駄だろう。



そう判断した俺は、小さく溜め息をついてから、未だ気絶したままの近藤さんをつついている神楽に言った。



「で、あのアホ共は?」




今日は賑やかな『七夕』になるんだろうな。




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