短編

□小ネタ集
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突発的小ネタ


※銀さんとトッシーしか出てきません






「坂田氏〜、これどうやって結ぶのか分からないよ〜」





「…」





いつもの土方に戻ったのだと安心したのも束の間。



俺を殴るだけ殴った土方は、あっという間にトッシーになってしまった。




そして今は。




「さぁかぁたぁしぃ〜!!」




「だぁぁぁ!!!うるせェェェ!!!!!分かったからちょっと黙ってろぉぉぉ!!!!!」





隊服のスカーフを結べないらしいトッシーは、俺が既に着ている隊服の裾をちょいちょい引っ張っている。



土方がやっているならば、可愛いすぎて鼻血モノだが、コイツがやっても鬱陶しいだけだ。





だけど。






やっぱ…外見は土方なんだよなァ…





触れればさらさらと指通りのいい漆黒の髪。




その黒とは反対に透けるような白い肌。





いつも鋭い光を宿している漆黒の瞳は今、閉じられているけれど。





やっぱ、土方だ…。





「坂田氏…」





口さえ開かなければ…。





「何だよ…」





「みんな僕のこと嫌いなのかな…」





「…っ…」





まさかコイツがそんなこと言うとは思ってなかったので、思わず声が出なかった。





「何で、そう…思うんだよ…」




途切れ途切れにそう聞き返す俺にトッシーは…





「だって志村氏も神楽氏も…坂田氏も…皆何だか…冷たい…」





泣きそうな声でそう言った。





「…嫌い、じゃ…ねぇ…」



それは本当。



だけど。




新八も神楽も…俺も。







土方が好きだから。






土方が大切だから。






お前は、土方じゃないから…。







「分かってるよ、坂田氏…」





俯いてしまっていた俺の手を握り、トッシーは先程とは違う優しい声音で言った。





「ちゃんと分かってるから…そんな顔、しないで…」



俺の頬に手を添えて、ふわりと笑いながらそう言うトッシーは、俺よりもずっと辛そうな表情をしていて。




思わず、抱き締めてしまった。





「苦しいよ…、坂田氏…」




その言葉は何に対してなのか。





胸が締め付けられて、抱き締める腕に力を込めた。




「苦しい…」





小さく囁かれたその声は、煙草の香りがする副長室に静かに響いた。






END
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