短編

□カカオ75%は恋の味
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ガラッ、と教室のドアを開けた瞬間ー…



「お妙さぁぁぁん!!!チョコ下さァァァい!!!!!」



近藤さんが志村妙に向かって突進していった。



「テメーにやるチョコなんざねーんだよ、このゴリラァァァ!!!!!」



…まぁ、結果はいつも通りなので気にせず、自分の席に向かった。


しかしその席を見て、俺は固まってしまった。



「これ…」



「おやおや、相変わらずスゲー量ですねィ。やっぱモテる男は違いまさァ、死ねよ土方。」


横からひょっこり顔を出した総悟がかなりムカつくことを言っていたが、言い返す気にもなれない。


なにしろ、俺の目の前には机に乗りきらないくらいのチョコの山があったのだから…



「どうしろってんだ、これ…」


甘いモノが嫌いな俺にこんな量のチョコは食べきれない。




「うわ、相変わらずスゲー量だな。羨ましいこと山の如しだコノヤロー。」



「ぎっ…!!…先生…」



チョコをどうするか考えるのに必死になっていて、後ろに銀八がいるのに全く気付かなかった。

いきなり声をかけられ、思わず「銀八」と呼びそうになったが、今は教室にいることを思い出し、「先生」と呼ぶ。



「相変わらずモテモテだな、多串君。」



「土方です。」



「なぁなぁ、そのチョコどーすんの?」



「…」



「土方甘いモノ嫌いだよな?」



「……まぁ…」



いつものように「多串君」と呼ばれるのかと思ったが、銀八は珍しく俺を「土方」と呼んだ。


しかも表情や声がなんか…不機嫌そうだ。



「じゃあ先生が食べてあげるから、放課後準備室まで来るよーに。もちろん、チョコ持ってな。」



「なっ…」



「はい、じゃあホームルーム始めんぞー。」



何で俺が!!とか、いろいろ言ってやりたいことがあるのに、さっきのやたらと真剣な顔を思い出し何も言えなくなってしまった。




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