短編

□カカオ75%は恋の味
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「バレンタイン?」



「そうですぜィ。まさか忘れてたんですかィ?」



朝、いつも通り登校していた俺に幼馴染みの沖田総悟が、どこから出したのかバズーカを構えながら「チョコくれないとコイツが火を吹きまさァ。」と脅迫してきた。

とりあえず、その場は一緒にいた近藤さんに止めてもらったが、俺には総悟が何故今日チョコを欲しがるのかが分からず、二人に尋ねると酷く驚いた顔をした二人に「今日はバレンタインデーだ」と言われた。


そして冒頭の会話に至る。





「そういやそうだったな…」


甘いモノが嫌いな自分にはあまり関係のない…むしろ、嫌なイベントだと思っていたので忘れていた。


でも、何かひっかかる…


そんなことを考えていると、隣を歩いていた総悟が手を差し出してきた。


「で、土方さん。」


「あァ?何だこの手は…」


「チョコ下せェ。」



「…」



「…」



「いや、だから。俺忘れてたって言っるだろ。」


「けど、チョコくらい持ってるでしょーが。」



「持ってねーよ!!アイツじゃあるまいしー…」



そこまで言ってふと、気が付いた。



『アイツ』とは最近付き合いだした担任の坂田銀八のことだ。


仮にも自分たちは付き合っているのだから、チョコをあげた方がいいんじゃないのか…?

しかも銀八は自他共に認める甘党…


バレンタインを忘れてました、なんて言ったら何をされるか分かったモンじゃない…

言った瞬間のことを想像してしまい、背中に嫌な汗が流れる。


そんなことを考えていると怪訝そうな顔をした総悟が話かけてきた。


「アイツって…旦那のことですかィ…?」



教師と生徒ということもあり一応隠しているが、総悟は鋭いとこがあるから多分自分と銀八の関係に気付いているのだろう。


「そんなわけねーだろ。」


疑いの眼差しを向けてくる総悟をてきとうに誤魔化し、学校へと急ぐ。




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