その瞳に映るモノ
□第四話
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「トシちゃん、今晩泊めて欲しいアル。」
土方が夕飯の買い物に行こうと近くのスーパーへの道を歩いていると、数百メートル先から赤いチャイナ服を着た少女がもの凄い勢いで突進してきた。
そして、少し息を調えてから、その少女ー…神楽はそう言ったのだ。
「別に構わねぇけど…どうかしたのか?」
「…何でもないアル。ただ…今晩だけ泊めて欲しいネ。」
ダメ?と不安そうな瞳で問掛けてくる神楽。
「ダメじゃねぇよ。」
神楽を妹のように可愛がっている土方が断るはずもなく。
ふわりと笑ってそう言うと、神楽は少し顔を赤らめながらも安心したように笑った。
「俺ァこれから買い物行くけど、神楽は先に家帰っとくか?」
少し暖かくなったとはいえ、まだ肌寒い季節だ。
風邪をひいては、と思い土方は提案したが…
「いやヨ。私もトシちゃんと買い物行きたいアル。」
すぐに却下されてしまった。
しかし神楽は今チャイナ服を着ているだけだ。
そういえば、どうしてコートも着ていないのか。
ふとそんな疑問が浮かんだが、自分の横でくしゅん、と小さくくしゃみをしている神楽に気が付き急いで自分のコートをかけてやる。
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