04/18の日記
06:54
変態に恋されてしまいました2
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カタカタカタ…
静かな事務所でパソコンと向き合う。
「翼ちゃん、そっち大丈夫?」
「大丈夫ですよー」
「よかった。これ、追加で」
「うぇ。わかりました〜」
ばさりと置かれた紙の束に、思わず顔をしかめる。
私の肩書きは一応プロデューサーだけど、人手不足なためこうして万里さんの仕事を手伝うこともある。重要な処理は全部万里さんがやってくれるから、私はそれをひたすら打ち込むだけだけど。
「目が…目がぁ」
「それ終わったら休憩していいよ」
「はーい」
「ちょっと社長室行ってきますね」
「いってらっしゃーい」
事務室を出る万里さんを見送り、カタカタとキーボードを打つ。
カタカタカタ、カタカタカタ。万里さんが部屋を出てからどのぐらい経っただろう。私はようやく手元の資料の打ち込みを終えた。
「やっと終わったぁ」
のびー、と大きく体を伸ばしこりをほぐす。
万里さんに報告しようと思ったけど、社長室に行ってまだ戻ってこないんだよなぁ。
「よし、休憩しよ」
はー、と息を吐けば、すぐに睡魔が襲ってくる。
今は人もいないし、ちょっとぐらい、いいよ、ね…。
***
「すぴー」
「あらら。寝ちゃってるよ」
廊下ですれ違った万里さんに、翼への伝言を頼まれた俺、二階堂大和は事務室の机ですやすや眠る彼女を見つけた。
万里さんの仕事を手伝ってたらしいんだが、その万里さんはこれから少し出るらしく、それを伝えに来たんだが…。
「すー…」
「気持ち良さそうに寝ちゃって…」
隣に椅子を運び、彼女の寝顔を見つめる。
すやすやと眠る彼女は成人とは思えない程幼い顔をしている。
「かわいい顔しちゃって。警戒心ってもんがないのかね」
人差し指で頬をつつくも起きる気配なし。それどころか、何が面白いのかふにゃりと笑う。まったく、このお嬢さんは俺の気持ちも知らないで。
するりと、やわらかな頬を撫でる。
「大和さーん、いるー…て」
「ミツ、しー」
体勢をそのまま、扉の方に目を向けると驚いた顔のミツがいた。きっと休憩で抜けた俺を呼び戻しに来たんだろう。
ミツはぱちぱちと数回瞬きし、呆れたようにジト目で俺を睨んだ。
「何してんだよ、おっさん」
「何もしてねえよ。万里さんに伝言を頼まれたから様子見に来たら、寝てたの」
「それで? 無防備に寝てる翼にそんなに近づいて何してんの」
「寝顔観察」
語尾にハートをつけて言えば、ミツから大きなため息。
ちなみに、ここまでの会話はすべて小声である。
「あんたなぁ、そんなことばっかしてっから翼に誤解されんだよ」
「誤解?」
「翼、あんたに遊ばれてるって思ってる」
ほんとは好きなんだろ? それも本気で。
「…いいんだよ」
「大和さん」
「こうして遊んでる内は俺のことを見てくれるからな」
「ガキか」
まだ22ですから。ミツにそう返し腰を上げる。
「あ、そうだ」
ポケットから携帯を取りだし、翼に向ける。
カシャ
「…大和さん」
盗撮が犯罪って知ってますか?
(写真待受にしよ)
(おいこら)
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