ガイアの祈り

□ACT.4
1ページ/3ページ



私はアッズーロと共にギンタ達の居る部屋とは別の部屋に飛ばされた。


先程の部屋よりも狭いけど、二人だけなら広いほうかな。



「久しぶりに会ったのに、いきなりだなんて…つれないなぁ」

「それ、俺らの誘いを散々断ってきたアンタの言う事じゃねぇだろ?」

「それもそうだね」


言い返す言葉もない、と大げさに肩を竦めてみせる。


アッズーロはウェポンARMを発動させ、大きな剣を肩に担ぐ。


「…なぁ、今からでもこっちに来ないか?アンタの場所は残してあるんだ」

「悪いけど、何度も言うようにそっちに行く気は無いよ」

「っ何でだよ!!?」


アッズーロが剣を振り下ろす。
すると氷柱が私に向かってくる。


「…力を貸して、"騰黄"」


私の呟きに答えるように、右手のブレスレットにある橙色の石が光り出し、大剣が現れる。

私はそれを両手で目の前に突き立て氷柱を防ぐ。

私に簡単に止められ、アッズーロの顔は歪む。

――悔しさとも、切なさともとれる苦しそうな顔に。


「何でだよ!?アンタはっ何でまだそんな事が言えるんだよ!!」

「………」

「誰にも信じてもらえず、怨まれ、傷つけられ!!それなのにっ!!」

「…アッズーロ」


分かってる。この世界で私が安心して暮らせる場所なんて無い事。

だからこそ、彼らは私を心配してくれている。

自分でも気づいてる。彼らと行ったほうが、安心して過ごせる事も。

それでも。


「ありがとう、アッズーロ。それでも私はこの世界が好きだよ。兄さん達も大好き。だから私は兄さんを止めたいの。その為には敵で無ければならない。私は、皆が大好きだからこそ、敵に回るの」

「…俺は、こんな世界大っ嫌いだ」

「私は好き。だって皆と会えたんだもの」


剣から手を離し、アッズーロに近付く。

彼は下を向いたまま、上げようとしてくれなかった。


「…俺たち"コローレ"は、アンタと契りを交わした義兄弟だ」

「うん」

「だが、俺たちはチェスの一部隊」

「うん」

「…ファントムが眼を覚まし、そう遠くないうちにゲームがまた始まる」

「………」

「アンタがそれに参加するというなら、相手は間違いなく俺らだ」

「…そっか」

「俺は…嫌だ」

「………」

「アンタと…戦いたくない…」


膝をつき小刻みに震える彼の背中に寄りかかり、眼を閉じる。


あぁ、私は馬鹿な事をした。
自分がいくら傷つこうとも構わなかった。
自分の事をないがしろにしていた。だから気づけなかった。

私が傷つく度、彼らも同じように傷ついていたのだと。

皆、私の事心配してくれていたのに。

いつでも帰ってこれるよう、場所も残しておいてくれていたのに。


「ありがとう。ありがとうアッズーロ。ごめんね…それでも、もう後戻りは出来ないんだよ…」


直後、再び浮遊感。
どうやら呼ばれているようだ。




***
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ