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□序章―ハジマリの詩―
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『夢野は、死んだ。』
『お前が殺したんだ。』
『将来有望だったのにな……』

やめて……
やめてくれ……

『ほら…、どうして何も言えない?』
『自分に否があると認めたらどうだ?』

嫌だ…!
聞きたくない……!

『貴方が夢野を奪ったのよ……』
『……お前は、俺達をどこまで虚仮にする気だ?』

……いやだいやだいやだ…


『…ばいばい、京野。

そして………
ごめんなさい……。』


嫌だよ、……

謝らないでよ……

『ごめんなさい』なんて言われたら、許すしかなくなるじゃないか……!!

「…………どうして!!」

どうしてどうして!!

「…なんで置いていったの?」

…ねえ、なんで?

私も連れて行ってくれたら良かったのに…

なんで置いていく事を選んだの?


それが本当に最善の方法だったの?

私を置いていく事が?

そんなに簡単に切り捨てて良い存在だったの?

貴方にとっての私は何なんですか?

私にとっての貴方は何なんですか?



――――――



外の世界は薄暗い。

暗くて暗く、逆に明るく。

仄かに光る、微かな月光。

それは、微々たる光りな筈なのに
どうしてこうも、私を照らす?

月なんか、嫌いだ。

否、月だけじゃない。

この世界の渾てが嫌いだ。

私を否定する人達が嫌いだ。

そして、否定してるのに私を求める人達が嫌いだ。

信じられない物は、渾て嫌いだ。


………私は、可笑しいのだろうか?

他人から見たら、非道く滑稽かもしれない。

それこそ、人類皆仲良くすればいいと、言うのかもしれない。


そんな綺麗事、私に通用する訳ないのにね…?


ああ……、

私、死んでしまいたい。


否、これから死ぬのだ。



月が、満ちて行く。


私の中の生気が消え失せるのと比例するように…。


……これじゃまるで、月に生気を奪われてるみたいだ……

と、ふと思った。

でも、嘘は言ってない。


「…さようなら」

………さようなら、父さん。

………さようなら、母さん。

………さようなら、馬鹿な人達。

………さようなら、愚かな者達。



………さようなら、世界。



「………さようなら、お姉ちゃん……」




―――――さようなら。





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