х短篇:小説х
□雨に想う
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οΟ*TENTEN*Οο
サ──‥
せっかくの非番の日に外は生憎の雨
テンテンはネジの部屋の窓から外を見ていた
「──‥」
肩越しに後ろを振り向くと本を片手に読書をしているネジがいる
「‥‥‥。」
再び、窓の外に目を向ける
三月に入りいくら暖かくなったとはいえ、雨の日はまだ肌寒い
そっと窓の外に手を伸ばした
上に向けられた掌にパタパタと天から降る雫が落ちる
その感覚に目を閉じ微笑む
「(静かね‥)」
先程と同じようにすっと手を引っ込め、窓枠に寄りかかり目を開ける
「(ガイ先生とリーがいないからかしら‥本当に静かだわ。)」
あの騒がしい二人を思い出す
「(あの二人のことだから、何処かで筋トレでもしてるのかしら‥‥雨の日ぐらい、休んだら良いのに。)」
そんなことを思いながら苦笑した後、ふ とあることに気付いた
「(あれ‥?私、雨の日にこんな事思うのって滅多に無いわよね‥
いつも、一人で部屋に閉じ籠って"早く止んで"って思うことが殆んど‥)」
静かに降り続く雨を見る
「──‥!」
パラ‥と本のページを捲る音に一瞬、思考が止まる
「(あぁ‥‥そっか。)」
ゆっくりと後ろを振り向き彼の存在を認める
「(今は、一人じゃない。
‥‥独りではないから不安にならない。
私は"私"を保てるのね)」
すっ と目を閉じ壁に身体を預け、静かに降り続く雨の響を聴きながら
時が経過していった‥
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