宝物

□サクラフワリ
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サクラフワリ

バイト帰り。佐原から入ろうといわれたオシャレなカフェ。
ドアを開けると今風の若者の視線が一瞬こちらに集まる。カイジは少し表情を堅くして。
(オレ…明らかに浮いてるよな…佐原はオシャレだけど…)「カイジさん?」
声をかけられカイジはハッと顔をあげる。
「でよっか?」
「え…?」
「人多いし待たなきゃいけなそうじゃん。俺待つのやだし。ほらでようよ」
ぐいと手をひかれる。
「さ…佐原…っ…」
つんのめりそうになりながらカイジは慌てて佐原の後を追った…

「佐原…」
「牛丼でも食べにいきます?カイジさんああいうとこだめでしょ」
「でも…」
くしゃりと髪を撫でられた。
「二人とも楽しめないと意味ないの。あっあったかくなってきたし今度お花見でもいきません?」
じわりと涙が目に浮かぶ。「あははどうしたんスか?」
唇で涙を拭われる。
「…ばか…」
みるみるうちに頬が染まって。
(佐原…)
「いきますよー♪」
手をひかれる。その後ろ姿を見つめながらいとしさが募る…

「……」
帰りついた部屋の中、鏡の前に立つ。
「釣り合わない…」
自分のてっぺんから爪先まで見つめため息を吐く。
(自分のみてくれなんか気にしたことなかったのに…)

「……」
翌日やってきた洋服屋。
慣れない雰囲気に戸惑いながら服を選ぶ。
「なにかお探しですか?」びくっとして顔をあげる。「あ…あの…」
ためらいがちにカイジは声をかける…

その翌日。待ち合わせの場所。
カイジはそわそわしながら佐原を待っていた。
ぽんと肩を叩かれ振り返る。ぷにっと間の抜けた音と共に指が頬に触れる。
「あはははっすんげ挙動不審♪」
「さ…佐原…」
カイジはみるみるうちに頬を染める。
「あ…」
ハッと我に返るカイジ。
「服…どうしたの?なんか今日オシャレだね」
「…へ…変かな…」
カイジは恥ずかしくてたまらず涙目になる。
「ふふ」
佐原はぎゅっとカイジを抱き締める。
「超いけてる!!」
にっこり笑う佐原。カイジはますます真っ赤になって。「なになに?俺のため?」「うるさい…ばか…」
「いじらしいなあ」
唇が奪われる。
「いこうかカイジさん」
差し出される手。その手をそっと握って…

満開の桜。


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