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□さぁ行きなさい
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蹲った俺の瞳から涙が頬を伝う
冷たい涙はそのまま地面に落ちていく
ふいに、話しかけられた
骸だった
「君に涙は似合いません」
だから泣かないでください、とハニカミながら骸は笑う
その笑顔は妖艶で、其処ら辺の女性より美しい
「ほら、」
そう言って骸は俺に手を差し出した
「あ、ありがと……」
俺は骸の手を掴んで立ち上がる
骸の手は大きくて、俺の手がとても小さく思えた
ふと、骸が話しかけてきた
「さぁ、行きなさい」
――君が行くべき場所へ
そう口だけが動いた
「……分かってる」
「それは良かったです」
また、笑った
吹く筈の無い風が吹いた気がする
「行ってらっしゃい、綱吉君」
――僕はずっと見守っているから
今度は目で訴えられた
その目を見ないように、俺は走っていく
「――さようなら」
きっともう会う事は無い君へ
『さようなら』