小説
□28話 敵の全て
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「敵の、全て?」
「せや。・・・時はきた。これ以上隠しとっても意味ないしな。」
全員は静かにロウの話しを聞いた。
「ワイが知っとんのはほんの一部だけや。それでも、お前等の力にはなると思う。」
「・・・全部、話して?」
「勿論や。」
ジッとロウを見る。
ロウは一息ついてから、再び口を開いた。
「まず敵の人数やけど、大将含めて五人や。」
「・・・三人じゃ、ないの?」
由稀菜の問いに、ロウは無言で首を縦に振った。
「まず、ワイが知っとるのは、松沢明希と中原真と諏訪玲奈の三人や。これはお前等も知っとるやろ?」
「うん。」
「そいつらにも、お前等と同じでパートナーがおる。」
「明希がヘビ、とか?」
「せや。松沢明希のパートナーはヘビのマオ。中原真はタヌキのヤマト。諏訪玲奈はカメのティオや。」
「他のぬいぐるみのパートナーは?」
引っ掛かったのか、奈都美がロウに問う。
だが、ロウは首を横に振る。
「人間の方は知らん。けど、大将はキツネのキオ。あとはブラックタイガーとホワイトタイガーの双子のラックとワイトや。」
「その残りの二人も、やっぱり僕達の友達、かな。」
里奈がロウに問うように言う。
「可能性は大やろうな。90%の確立でお前等の知人や。」
ロウの言葉を聞き、由稀菜の顔が再び曇る。
そんな由稀菜を見て、だいは名前を呼ぶ。
「大丈夫。・・・で、ロウ。どうして敵はぬいぐるみの姿にさせて、私達と戦うなんて事しようとするの?」
「それはな、ワイ等ぬいぐるみの過去に関係しとるんや。」
『え?』
「・・・僕、達?」
「せや。」
五人はそれぞれのパートナーを見た。
五匹は覚えがないのか、頭に疑問符を浮かべている。
「敵のぬいぐるみは、お前等パートナーに恨みをもっとる奴等や。」
「でも、俺様達はんな事・・・。」
「それは、あいつ等がわざとその記憶も一緒に抜いたんやろ。」
「・・・でも、どうして?」
「?」
だいの言葉にロウが首をひねる。
「なんで直接僕達に言わないの?なんで、由稀達、関係ない人を巻き込むの?」
「それはワイにもよぉ分からん。・・・せやけど、理由はパートナーの人間の方にもあるんやろうな。」
「その理由もあいつらに聞こうぜ、だい。」
「うん。」
だいを説得するように言うクロ。
由稀菜はだいの頭を撫でて、大丈夫だよ、と言う。
それにニコッとだいは微笑んだ。
「他に情報はないの?」
「せやな。後は・・・。」
「・・・ワイが。」
「ロウが?」
「敵やっちゅう事や。」
『・・・。』
真剣に言うロウに、みんなは凝視した。
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