小説

□25話 小さなパートナー
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修学旅行が終わって、いくらかの時が過ぎた。
気が付けば冬の球技大会も、クリスマスも、お正月も、冬休みも終わっていた。
風も涼しいものから寒いものに変わり、あと少しでバレンタイン。
そんな冬の日の事だった。

「白梅〜。今年は何を作るの?」
「何が?」
「バレンタイン。」

登校中の悠と由稀菜の会話。
バレンタインが間近に迫り、何を作ろうかと頭を悩ませていた。
他の人と同じものは出来るだけ作りたくない。
それが二人の意見だった。

「・・・うーん。ブラウニーっぽいものでも作ろうかな。」
「ぽいって・・・。」
「悠さんは?」
「未定。」

バレンタインの話しで盛り上がりながら、二人は学校に到着した。
そして、いつものように三階の北棟のトイレへと向かう。
鞄の中からだいとロウを出し、窓の脇に立たせる。

「じゃあ、また後でね?!」

笑顔の由稀菜とは裏腹に、とても暗い顔をしただいとロウ。
不思議に思った由稀菜はどうしたのかと聞いた。

「・・・由稀。僕、大人しくしてるから、由稀と一緒にいさせて?」
「・・・え?」
「お願いッ!!」

いつもならすぐ屋上に行くだい。
なのに、今日は今にも泣きそうな顔をして必死に一緒にいたいと訴える。
その上、いつも素直なだいが珍しく我儘だ。

「何かあったの?」

きっと理由があるのだろう。
そう思った由稀菜は優しくだいに聞いた。
だいは一度頷いてから口を開いた。





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