小説

□24話 ただいま、故郷
1ページ/6ページ

無事、飛行機に乗り込んだW高の生徒。
寒々しかった北海道を後に、故郷へと向かう。
・・・その飛行機の中。

「・・・んー。」

由稀菜は収納式の机を出し、腕を枕代わりにして寝ている。
今回、三人用の座席に、真ともう一人の班員の子と座っている為、だい達を出せない状態なのだ。
通路を挟んだ二人用の座席には、里奈と千晴が座っていた。
二人は、一緒にカリカリと絵を描いている。

「由稀ちゃーん!」
「由稀ちゃん!」

里奈と千晴は手を止めて由稀菜に声をかける。
到着まで残り三十分だと放送が入ったからだ。
だが、由稀菜は二人の声に気付かない。

「由稀ちゃん!!」

里菜が、由稀菜の体を揺らしながら再び声をかける。
すると、由稀菜はモゾモゾと動き、顔を二人の方に向けて口を開いた。

「・・・何?」

だが、目つきが悪く、声も低い。

「もうすぐ着くよ?!」
「・・・あとどれくらい?」
「三十分。」
「・・・チッ。まだ寝れるじゃねぇか。」

舌打ちをして、再び目を閉じる由稀菜。
千晴と里菜は、唖然としてジッと由稀菜を見ていた。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ