小説

□23話 高い高い山の上
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修学旅行三日目を知らせる鳥の鳴き声が響いている。
流石に三日目となると予定通りに起きれる。
・・・それは、里奈や由稀菜も同じだ。

「んー!・・・朝、か。」

カーテンから差し込む朝陽で目を覚ました由稀菜。
時計を見れば朝食までまだ一時間以上ある。
しかし、二度寝をすれば確実に寝坊をしてしまうと思った由稀菜は、ベットから出た。

「幸せそうな顔して・・・。」

里奈とクロとだいとロウを見て微笑する。
とても幸せそうに眠り続ける一人と三匹を数秒見て、由稀菜は洗面所に向かった。
歯磨きをして、顔を洗い、スッキリして洗面所を出た。

「おはようさん。」
「・・・はよ。」

足元からかけられた声。
下を向けばロウの姿。

「由稀。昨日はスマンかった。」
「ん?良いよ。気にしてないし。」
「お前を、どうしても行かせたくなかったんや。」
「・・・何で?」
「それ「由稀?」ッ・・・。」

ロウが話している途中、由稀菜の名前を呼ぶ声が聞えてきた。
そっちに目をやれば、目を擦りながら歩いて来るだいの姿があった。
由稀菜はだいに、おはよう、と声をかけた。

「おはよ〜。」

ヘラッと笑ってあいさつを返すだい。
由稀菜はニッコリと微笑んで、目線をロウの方に戻した。

「で、何で?」
「ん?・・・まぁ、また時間(トキ)がきたらな。」
「最初から言わないつもりだったんでしょ?」
「さーて!ワイはもう一回寝るか・・・。」
「もぉ!!」

バサバサと翼を広げ、由稀菜のベットの上まで飛んで行き、目を閉じた。
由稀菜は、ふぅと溜息をついて、足元まで歩いてきただいを抱き上げた。
まだ眠いのか、ウトウトしている。

「だいも寝てて良いよ?朝食が終わるまで寝れるし。」
「うん。・・・おやすみ。」

だいは、由稀菜の腕の中で目を閉じた。
すぐに、スースーという寝息が聞えてきた。
由稀菜は自分のベットの方に近付いて、だいをベットの上にゆっくりと下ろした。

「さて。・・・里奈。起きてー!!朝だよ!?」

くるりと後を振り返り、里奈の名前を呼ぶ。
ぬいぐるみ達を起こさないように気を付けながら、小声で名前を呼びながら体を揺らして起こす。
由稀菜が声をかけてすぐに、里奈は重たいまぶたを持ち上げた。





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