小説

□20話 私服は真っ黒
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柚香子と乃莉香を見送った後、由稀菜と里奈はそれぞれお風呂に入った。
その日のお風呂は、いつも以上に気持ちよく感じた二人であった。
そして、あっという間に就寝時間となった。
由稀菜と里奈は、それぞれのベットに入り、電気を消して目を閉じた。
・・・だが。

「・・・里奈、寝た?」
「まだ。」

なかなか寝付けない二人。
足元のソファーを見ると、だいとクロとロウがぐっすりと眠っていた。
二人は、三匹を起こさないように小声で話しをし始めた。

「パートナーの記憶が戻ってなかった事、気付いてた?」
「ううん。クロ、そんな事言ってなかったし、そんな様子見せなかったから。」
「だいもだよ。」

会話が途切れ、シーンと静まり返る。
だが、すぐに里奈が口を開く。

「楽しんでるって言ったけど、本当は怖いんだよ、僕も。」
「・・・。」
「記憶を戻してあげたいのは山々なんだけど、結局自分が一番可愛いからね。死にたくはないんだよ。」
「・・・うん。」
「でも、それは昔の事で、今はクロと一緒にいれて凄い楽しい!」

暗く話していた里奈だったが、明るく、笑顔で由稀菜に言う。
由稀菜は元気な里奈の声を聞き、フフッと笑う。

「私さ、だいのパートナーになった時、凄い不安だったんだよね。」

目を閉じて過去を振り返る。
楽しかった事や辛かった事・・・。
たくさんの思い出。

「でも、今は本当に毎日が楽しい!早く記憶が戻してあげて、それから元の姿に戻してあげて・・・。」

指を折りながら色々と口にする。
由稀菜の話しを里奈は静かに聞く。

「とりあえず、私達は私達の出来る事をしようよ!」
「そうだね、じゃあ、とりあえず今は寝よう!!」
「フフッ。だね!」
「おやすみ。」
「おやすみ。」

明日も朝が早い為、二人は目を閉じて眠りについた。
二人の会話を三匹がこっそり聞いて、微笑みあっていたのはここだけの話し・・・。





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