小説

□19話 フクロウ、ふくろう、知恵袋?
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動物騒ぎが一段落し、五人は園内を歩き回っていた。
時計はそろそろ集合時刻を指そうとしている。

「みんな、急げ!」

さっきの涙はどこへやら。
由稀菜が一番元気であった。
他の子達は心身ともに疲れているようでフラフラしている。

「由稀、元気すぎ!」
「だって早く行かないと間に合わないでしょ?!」

先頭を突っ走る由稀菜の頭上から、何かが落ちてくる。

『あ・・・。』

由稀菜以外の子達は気付いたものの、本人は気付いていないらしい。
由稀菜の頭に、ソレは落ちた。

「イタッ!」

さして痛くなかったのか、声は大きくなかったものの、それでも痛みはあるらしい。
ソレは頭にぶつかり、地に落ち、今は由稀菜の足の下だった。

「ん?」

踏みつけたソレに目を落とす。
足からはみ出て見えるのは白い羽だった。

「アニキ・・・じゃないよね?・・・って、イタッ!」

今度は後頭部に何かがあたった。
振り返ると怒ったようなアニキが居る。
つまり、アニキの足蹴りをくらったらしい。

「んなドジするかよ。」
「だからって蹴らないでよ!」
「うっせー!」
「まったく。出会った最初はお腹空かせて空から落ちてきたじゃない。」
「・・・チッ。」

ばつが悪くなったのか、アニキは空へと逃げてしまった。

「とりあえず・・・どうしよう。」

追いついた友人達を見ながら、白い物体を指差して言う。

「とりあえず、由稀が持っとけば?」
「んー。」

悩む由稀菜。
でも、と言おうとした時、先生が五人を呼ぶ声が聞えてきた。

「と、とりあえず行こう!」

由稀菜はソレを抱え上げ、バスの方へと走った。
ぬいぐるみたちは、自分達で鞄の中に入っていった。





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