小説

□18話 ライオンとぬいぐるみ
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威嚇するように鳴くライオン。
五人とライオンとの距離は約5メートル。

「由稀、どうする?」
「・・・食べられるか、戦うしかないでしょ。」

柚香子の問いに答える由稀菜。

「ライオンに食べられる趣味はないからね。」
「同じく。」
「うん。」

里奈の意見に同意する、遥と乃莉香。
その言葉を聞き由稀菜は、だよね、と呟いた。

「となりゃあ答えは一つだろ。」
「戦うしかないみたいだね。」

里奈の肩からクロが、乃莉香の腕の中からみつが口を開いた。
その言葉に五人は首を縦に振った。

「ちーくん。武器五人分出せる?」
「うん。暁、大丈夫?」
「勿論ッス!」
「武器って・・・何?」

遥と柚香子の会話に疑問を抱いた由稀菜。
柚香子は由稀菜に暁の能力の事を伝えた。
里奈と乃莉香も聞いていたみたいで、へー、と驚いた様子を見せた。

「じゃあ、出来るだけ早めによろしく、遥。」
「うん。」

遥と暁は、いつも以上に集中した。
ライオンが襲ってこないか、それぞれ来た道に立っているライオンを四人はジッと見ていた。
それでも、ジリジリと間合いを詰めてくる。
だが、あと2メートルぐらいの距離で、ライオンたちは止まった。
それから一歩も動こうとしない。

「どうしたんだろ?」
「さぁ。気を抜いたら、ガブリッ!って訳じゃないよね?」

ライオンたちから目を離さないまま、会話を続ける。
ライオンたちも五人から目を離さない。
ただ、いつでも襲えるように姿勢を低くしたままだ。

「動物だけどフェアな戦い希望・・・とか?」
「まさか。」
「だよね。」
「けど、何で襲ってこないんだろ。」
「いつでも食べられるからおごってるとか?」
「それはないと思うよ。」
「う〜ん・・・。」

口々に出すが、明確な答えは出なさそうだ。
そうこうしていると、パンッと手を叩き合わせる音が響いた。





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