小説

□16話 大量の敵
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一方、アザラシ退治をしていた里奈たちは苦戦していた。
水槽で泳ぐアザラシの対処がないのである。

「どうしようか。お嬢さん。」
「知らないよ。それより、千晴は何処に行ったの?」
「多分、逃げたんだろ。」
「・・・かな。」

客が逃げている最中、里奈、乃莉香、クロ、みつはアザラシの水槽の前に立っていた。
そんな二人と二匹を小馬鹿にしたように泳ぐアザラシ軍団。

「早く片付けないといけないのは分かるけど・・・。」
「どう倒せばいいのかな。」

水槽に入るわけにもいかず、打つ手がない。

「う〜ん・・・。」
「あ。そういえば、クロはネコ、みつはクマ、だよね?」
「ああ。」
「そうだよ。」
「そっか!二匹に退治してきてもらうんだね!?お嬢さん!」
「まぁ、そんな所。」

つまり、二匹の本能を利用しよう、という事らしい。
ぬいぐるみに本能があるのか疑問だが・・・。

「水に濡れろって事か?」
「ちゃんと乾かしてあげるから。」
「私も?」
「みつは様子見でいいよ?」
「結局俺一人かよ。」

ぐちぐちと言っていたが、結局クロが折れた。
諦めたように嘆息する。

「・・・ったく。」

軽々と水槽に飛び込み、アザラシを見据る。
ゆっくりと近付き、一匹に飛びついた。
しかし、アザラシにはいとも簡単に逃げられた。
その所為で前のめりに転んでしまったクロ。

(・・・こんの〜!)

体勢を立直し、次々とアザラシに飛び掛かっていった。
けれど、すべて軽々と逃げられてしまった。
アザラシたちは水槽に入ったまま、上がってくる気配はないようだ。

「駄目っぽいね。」
「役に立たないな〜。」

頑張っているクロに酷い言いよう。

「ねぇ、乃莉ちゃん。やっぱり私も行って手伝ってくる。」
「大丈夫なの?」
「うん!」

ニッコリと笑い、みつも水槽に飛び込んだ。
みつとアイコンタクトを取るクロ。
みつの加わりで少なからず心強くなった。
しかし、アザラシたちには、何の効果もないようだ。
みつは水に入らず、岸で待っていた。
そんなみつの前にアザラシたちは小馬鹿にしたように集まってくる。

「今だよ、クロくん!」
「おっしゃー!」

頭を出したアザラシに何処から出したのかハリセンで叩くクロ。

「ハリセンってありなのかな?お嬢さん。」
「いいんじゃない?」
「じゃあ、モグラ叩きならぬアザラシ叩きだね!」
「・・・」
「痛っ!」

乃莉香に頭を小突かれ、里奈は頭をさすった。
アザラシを倒すまで、あと数十分・・・。





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