小説
□13話 ようこそ北国へ
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「・・・っ;」
「大丈夫?クロ。」
「あ゙っ、あ゙ぁっ。」
「・・・どこがよ。」
離陸し、ある一定の高さまで上がった飛行機。
由稀菜はクロとだいを膝の上に再び乗せていた。
だが、膝に乗せたクロの顔は青ざめていた。
「・・・ゔっ。」
「ぬいぐるみも酔うんだね。」
どうやら飛行機酔いをしたらしい。
気分が悪そうなクロの背中を、優しく撫でるだい。
そんな二匹を見て萌える、由稀菜と千晴。
通路を挟んで座っている里奈には見えないようだ。
「薬、いる?」
「・・・一応。」
「じゃあぬいぐるみのフリしてて?!」
「おー・・・。」
「はぁい!」
由稀菜はすぐさまスチュワーデスさんを呼び、薬とコップ一杯の水を受け取った。
その間、クロは今まで以上に一生懸命フリをしていた。
「はい薬。見付かんないように飲んでよね?」
「あ、あぁ。サンキューな。」
由稀菜から薬と水を受け取り、一気に飲むクロ。
その様子を心配そうに見つめるだい。
そんなだいの頭を撫でながら、由稀菜は大丈夫!、と安心させるように言った。
(・・・っていうか、いつも口の中に物入れてるけど、ちゃんと消化されてんのかしら。そっちの方が心配だわ。)
だいとはまた別の事を心配していた由稀菜であった。
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