小説

□03話 新しい能力
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手を上げたのは案の定、里菜と乃莉香だった。
全員、やっぱりか、と心の中で呟く。

「ひつはダメ〜!!」
「僕だよ、お嬢さん!」

再び二人の取り合いが始まった。

「二人共ストーップ!!」

それを止めたのは由稀菜だった。

「クロにも意見を聞かないとね?」
「当たり前だ!こう何度も勝手に決められてたまるか。」

ハァ、と溜息をつくクロ。
そんなクロは机にふんぞり返って座る。
その横に、だいが座った。

「じゃあ、里菜、っていう奴!テメェで勘弁しといてやる。」
「やったぁぁぁぁ!!」
「何で!?」

両腕をグッと上に上げて喜ぶ里菜。
そして、少々怪訝そうに見ている乃莉香。

「理由はただ一つ。あんな猫が戯れてる場所なんかにいられっか!」

あんたもネコじゃん!
そう心の中で呟いた一同は、揃って同じ意見だった。

「こいつの家のネコ達にどれほど遊ばれた事か・・・。」
「あぁ。子猫達に遊ばれてたもんね。」

思い出し、言う乃莉香。
そして、遠い目をするクロ。

「っつう訳で、だ!俺は静かに寝れる家が良い。」

我が儘、とでも言いたげなみんなの目線がクロに突き刺さる。

「じゃ、じゃあクロのパートナーは里菜って事で!」

由稀菜がパンッと手を叩く。
こうして、クロのパートナーは決定した。

「じゃあ今度がはだいね!誰が良い?」

クロの横にちょこんとすわるだいに由稀菜が問う。
だいは、う〜んとしばらくの間唸り、口を開いた。

「由稀!」

机を蹴り、由稀菜の胸に飛びつくだい。
由稀菜はあわててだいを受け止める。

「な、なんで?」
「だって由稀の家、お菓子がたくさんあるんだもんv」

にっこりと微笑んでいうだい。
子供のようなだいの答えに、微笑ましく思うみんな。
これには反論の言葉は出ず、なんともあっさりとだいのパートナーが決定した。

「里菜の家にはネコちゃんがたくさん居るけど、放し飼い状態だし・・・。私の家にもお菓子はたくさんあるけど・・・。家族に見つからないか凄い心配なんですけど。」

だいを抱いたまま心配そうに言う由稀菜。
そんな由稀菜を涙目で、更に上目遣いで見るだい。

「由稀・・・。由稀は僕の事、嫌い?」
「そ、そんな事あるわけないじゃないッ!!!」

だいの涙目と上目遣いに心奪われた由稀菜。
可愛い物好きの由稀菜には強力な攻撃だった。
ぎゅっとだいを抱きしめる由稀菜と、由稀菜に抱きつくだいをみてイライラするクロ。

「まぁ、最近部屋に居る事が多いし、家族が入ってきたら他のぬいぐるみに混ざってればバレないよ!」
「僕の家も大丈夫だよ!・・・多分。」
「オイ、里菜。多分ってなんだ、多分って!!」

クロのツッコミにみんな笑う。
クロは恥かしくなったのか、ケッ!と言いそっぽを向いた。





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