小説

□02話 最初の敵
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「・・・あれ。のりちゃんとひつは?」

約束の放課後。
人数が足りない事に気がついたのは、千晴だった。
そして、勿論クロもいない。

「奈都美ちゃん。二人と一緒じゃなかったの?」
「うん。先生に呼ばれたから、先に行っててって言ったんだけど・・・。」

その場に居た全員が、クロを取り合っているのかな、と思っていた矢先。
フラフラな二人が登場。

「な、何があったの?」
「お嬢さんがクロを抱かせてくれなかったぁ!」
「学校でぬいぐるみなんて出しちゃダメでしょ?!」

嗚呼、やっぱりクロ関連か、と思った一同。
ハハッ、と苦笑いをする。

「で、クロは?」
「ここだ。・・・ったく、こいつらなんなんだよ。」

乃莉香の鞄からひょこっと顔を出し、頬杖をついてはぁ、と溜息をつくクロ。

「今更ながら、去年蔵書点検やっててよかったね?先生、普通に入らせてくれるし!」
「けど、あれは地獄だった・・・。」
「それを言わないで、柚香子。」

昨年も図書委員だった由稀菜と柚香子は、夏から冬にかけて約半年程大量の本の蔵書点検をした。
二人と一緒に乃莉香や他の子もしたのだが・・・。
それを経験した人はみな、「地獄だった」と言う。
・・・本当に地獄の様だったのだが。
けれど、頑張った甲斐あって、一年経った今でも生徒立ち入り禁止の蔵書室に普通に入れる。
その辺は由稀菜達も“便利だ”と思っている。

「先生来ないよね、由稀。」
「うん。来ないでって言っておいたから!」

「来ないで」という由稀菜の頼みも受け入れてくれる司書の先生。
由稀菜が先生と仲が良いから出来る事だった。




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