番外編

□不思議の国のアリス
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「青虫ねぇ・・・。」
「イモムシだよ、由稀。」
「あれ?そうだっけ?」
「うん。」

辺りをキョロキョロとしながら進む由稀菜とだい。
いつも見ている小さな植物が自分よりも大きい事に感動を覚え、由稀菜は小さくてもまんざらでもないな、と感じていた。
そして、乃莉香やみつに言われた道を進んで早五分が経過していた。
しかし、一向にイモムシが見つからない。

「もー!!イモムシ何処ー!?」
「まぁまぁ、由稀。」
「つうか、イモムシって誰なのよー!!」
「私だよvv」
「・・・ん?」

由稀菜の問いに答えた誰か。
その声はだいのものではなかった。
右側から聞こえてきた声。
そっちに向くと、キノコの上に偉そうに乗っているイモムシが居た。

「ま、真。」

それは、真だった。
由稀菜は呆れるものの、内心真の与えられた役が一致していると感じる。

「ねぇ、真ちゃん。」
「ん?」
「お城がどっちにあるか知ってる?」
「うん!」
「ホントに!?」
「私に知らないことはなーいッ!!ハハハハハハーッ!!!」
「ま、真ぉ・・・。」

高笑いする真の様子に苦笑いを浮かべる由稀菜。
真は笑い終えると、下から2列目の右足で正面の道を指す。

「こっちに行けばお城があるよ。」
「ありがと、真ちゃん!」
「ちょっと待ったー!!」
「「?」」

真にお礼を言うだい。
しかし、由稀菜が口を挿む。

「真。私、元のサイズに戻りたいんだけど。」
「いいじゃんそのままで。」
「よくないよ!小さいままなんていやー!」
「少しは考えろよなぁ!」
「・・・メンドイ。」

由稀菜の言葉に目を見開く真。
そして、だんまりとする。

「しょうがないなぁ・・・。」
「やった!」
「このキノコの右側を食べれば大きく、左側を食べれば小さくなれるよ。」
「ありがと!」
「じゃあ、私はこれから用があるから・・・!!」

そう言って、真はノソノソと草むらの中に消えていった。
由稀菜は言われた通り、右側と左側からキノコを少し取った。

「ん〜・・・。大きく、ね!」

右手で持っていた右側から取ったキノコを一口食べる。
しかし、食べ過ぎたのか、大きくなりすぎてしまう。

「し、失敗。」

今度は、左手で持っていた左側から取ったキノコを口にする。
すると、今度はだいよりも小さくなってしまう。

「由稀が小さ〜い!!」
「んー・・・。調節が難しいなぁ・・・。」

由稀菜は両手のキノコを凝視し、右手に持っていたキノコをぺろりと舐める。
すると、大きさは元通り!

「戻ったー!」
「由稀ー!僕も戻る!!」
「ん!じゃあ、舐めてごらん?!」

だいに右手に持っていたキノコを差し出す。
だいは由稀菜に言われた通り、キノコをぺろりと舐める。
すると、だいも由稀菜と同じように元のサイズに戻る。

「じゃあ、先に進もうか?!」

由稀菜は元に戻っただいを肩に乗せ、真に言われた道を進んだ。





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