番外編

□奇跡のハロウィン
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「オレ様だ。」

アニキだった。
アニキの横に座っていたクロは顔を強張らせる。

「じゃあアニキ、命令よろしくッ!!」
「あぁ・・・。」

柚香子の言葉を聞き、ニヤリと笑うアニキ。
ゾクッと寒気を感じるクロ。

「クロ!オレ様にキs「だからそれはダメだってぇの!!」ッ・・・。」

ボコッとアニキの頭を殴る由稀菜。
怪しいと感じていた由稀菜は後ろで構えていたのだ。

「ったく・・・。それに、指名って数字でなの!!」
「・・・チッ。じゃあ、クロ、オレ様にお前の番号を教えろ!!」
「だから、それもダメだって!!」

由稀菜の二度目のげんこつが飛んだ。
アニキはキッと由稀菜を睨んだ。
だが、由稀菜は引く事を知らず、逆にアニキをギロッと睨んだ。

「何か文句でも?」

ニッコリと笑ってアニキに対して言う由稀菜。
その笑顔を見て、身を強張らせるクロとだいとアリス。

「いつも見る由稀の笑顔とは違うわね?」
「そうッスねぇ!?」

だが、みつと暁は全く動じない。
流石“天然”といったところだろう。

「ほら、早く言いなさい!」
「・・・チッ。じゃあ、奇数の奴ら、この階を一周走ってきやがれ。」
「え゙ーッ!!」

改めて言った王様の命令に、不満の声を上げる奇数の人達。
確認の為、由稀菜が、奇数って誰?、と声をかける。
返事をしたのは、一年生2人とクロ、だい、アリス、里菜、奈都美、遥、乃莉香だった。

「なッ!クロ、お前もか?!」
「あぁ。」

アニキの質問に答えながら、イスから立つクロ。

「だい。行くか。」
「うん!!」

2人仲良く走りながら教室を出た。
そして、他の7人もイスから立ち上がる。

「あッ!私も行く〜!!」

ガバッと立ち上がり、ダッシュで教室を出る由稀奈。
元運動部の由稀奈は、短距離で走るのが好きだとか・・・。
きっと、興味があったから行ったのだろう。

「・・・チッ。クロまで走らせるなんて、オレ様とした事が。しかも、あの犬ッコロも一緒なんて・・・。」

命令をしたアニキはぶつぶつと文句を言っていた。
王様になった意味がねぇ、と苛ついていたのを知っているのは、偶数のクジを引いた数人だけだった。





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